コーヒーとの付き合いも半世紀を越えました。

 ニューカマーとして、暫くは自己紹介を続けましょうか。
 コーヒーとの付き合いは、京都の下宿時代から。安下宿の5,6人の学生仲間の中に、無類のコーヒー好きの先輩がいて、彼に影響されてコーヒー党になったな。なけなしの金を出し合って、四条河原町のコーヒーショップから焙煎した豆を買ってきて、手回しのコーヒーミルで時間を掛け、車座になって先輩のコーヒー談義に耳を傾けながら、いただいたものである。
 広くもない下宿の二階にコーヒーの薫リガ流れると、誰が誘うこともなく集まってきて、朝のコーヒータイムが始まる。その頃は全員が全学連のメンバーで、大抵の午後は「安保反対」の激しいデモに参加する猛者たちが、神妙にコーヒーセットの前に座って、コーヒーの薫を楽しみながら物も言わず黙って、淹れ上がる時間を待っている光景は、茶の湯の儀式に参列しているかの趣きがあった。今、ボクは日に5回コーヒーを淹れるが、手回しのコーヒーミルを愛用していて、あのゆったりとした儀式を懐かしんでいる。