「私から年齢を奪わないで下さい。働いて、漸く手に入れたのですから」。

 我が家の真正面100m足らずの山裾を彩る紅葉たち。

 メイ・サートンの『独り居の日記』から。
 50才をとっくに超えた隣人が、新聞記事に出る自分の年齢を39歳と書かせた、と言う内緒話を聞いたメイ・サートンは驚いて、
 「私は58才であることに誇りを持ち、いまだに生きる夢だの恋だのと関わりあい、かってないほど創造力もあればバランスも保ち、可能性を感じている。肉体的な凋落のいくつかは気にならないことはないけれど、(中略)私たちは生きてゆくことで自分の顔を作ってゆくのであって、ここにきて漸く私の成れた、全人間としての存在と比べれば、あちこちに皺ができたことなど、さして重要ではない。」
 と、アンディが『詩人とロバ』で言った言葉を紹介している。
 『私から年齢を奪わないで下さい。働いて、漸く手に入れたのですから』
 「人から若く見られたい」と言う願望は、我々の文化が成熟を資産と見る気風に欠けているからだと断じている。
 ボクは今を生きなければならない。屍のように生きてはいないか!?