物思う秋に「貧しくとも心豊かであれ」と夢を追います。

 「弊衣を纏い粗食を食らうも、心豊かであれ!」とは、貧しい人間の「やせ我慢だ」と揶揄されますかね。ボクは人生は斯くありたいと思って生きて来た。
 ひょいと外国に出掛け、そこが気に入ったので土地を買い家を建て、日本との間を行ったり来たりの生活を7年、面白おかしく暮らして来たが、ここ最近キリマンジャロを見たいの東ヨーロッパで暮らしてみたいのと言うのは、体力的に無理かと思うようになった。
 夢を追い求めて来たボクには悔しいが、「寄る年波で詮方ないこと」と観念をして「ならば好きで移り住んだ山里で、残り僅かになった人生を如何に過ごすか」と考えれば、地球を歩くというスケールこそないが、静かに腰を落して、夢見つつ生きる楽しみを与えてくれるのである。
 ボクの足元で蹲っているミシェールを見ると「もっと愛情を注いでやらないといけないな」と思うし、さらに粗食を徹底してミュージック・ライブラリーを充実したいし、リビングルームを好きなもので飾ってみたいし、まとまったエッセイの一つも書いてみたいし、やりたいことはいくらもある。外国くんだりに出掛けなくとも、どんどん夢は広がって毎日が楽しいのである。