そこいらが凍て付く寒さの中で帯状疱疹を抱えながら、ボクは81回目のバースディを迎えた。

 朝6時、バリバリと音を立てて車のタイヤ跡を踏みしめ歩いて来た。ミシェールの吐く息も白く、手袋をしていてもジンジンと指先が凍える。
 1月16日はボクの無駄に生きた81回目の誕生日。妻は平成1年1月9日に逝ってしまったので、26回目のロンリー・バースディである。
 体調が優れないと、下を向いて俯き加減に物事を考えるようになるな。ここ数日「車にも乗れず、食事の用意も出来ないようになったら、どうすりゃいい」と、そんなことばかり考えていた。
 賄い付きの有料老人ホームや、介護付きの施設にはどんな種類があるか等、そんなことばかりインターネットで検索していたな。すんでのところでパンフレットを取り寄せる気になったりしていたが、今は疱疹の痛みが少しは穏やかになったせいだろう踏み止まっている。
 こんなマイナス思考から早く抜け出さねばと思う。ボヘミア地方を逍遙しキリマンジャロを見に行くと言う夢を、すっかり忘れかけていた。81にもなって他愛もない。
 1か月ほどお休みしていた自家製の体操を「こんなことではあかんぞ」と、今朝から再開してみた。肌着が疱疹の上に擦れると痛いのは痛いが、我慢できないこともない。やれば出来る。
 今日、81回目の誕生日を「帯状疱疹からの脱出の日」としましょう。読書も再開して、買いたいと思っていた本もオーダーしましょう。帯状疱疹ごときに打ちのめされてたまるか!