小野田寛郎さんの死亡を世界の有力紙が報じている。

 あの小野田さんが亡くなられた。大方の若い人は知らないだろうが、僕らの世代の人間には忘れられない、「英雄」と賞賛すべき人であった。
 世界にも広く知られた小野田さんの死を、ニューヨーク・タイムスをはじめヨーロッパのシュピーゲル紙までが、可なりのスペースを割いて報じている。
 1面トップ扱いの「ワシントン・タイムス」の写真入りの記事である。

     
 
 フィリピンのジャングルの中で29年の間、日本の敗戦を信じず隠れていた小野田さんが投降した際の写真がこれ。
 「天皇が統治する日本が、戦争に負ける筈がない」と、骨の髄まで信じて信じさせられて、29年の長きにわたり身を潜めていた小野田さんを畏敬し、その死を心より悼むものです。
 世界の有力紙がこぞって小野田さんの死亡記事を掲載したのも「武士の軍人の鑑とするべき男であった」とする、尊敬の念があればこそでしょう。
 小野田さんは「信じることの素晴らしさと戦争の愚かさ」を具現した、生ける記念碑のような人ではなかったかな。「世界に誇るべき日本人の一人だった」と、今もボクは確信している。