2014-05-30 エロチシズムの極致のようなコクトーの詩です。 堀口大学訳の「コクトー詩集」に、こんな目の覚めるような詩があります。 「黒奴(くろんぼう)美人」 黒奴美人は半開きの戸棚です 中には濡れた珊瑚がしまってある 何と瑞々しい感性でしょう。ボクにこんな感性はなく、あるのは惨めたらしい助平爺の消え残る欲望だけです。 お口直しに、同じコクトーのこんな詩はいかがでしょう。 「いい気候」 またいい気候の季節が来た 閉じた窓を開け放つと 家々の 二階と 階下(した)とで 話をする 声が聞こえてまいります 初々しい感性で、人の温もりを謳い上げるコクトーです。