クラウディオ・アバドさんを偲ぶ。

 今日は鬱陶しい雨の中をプールに行かねばならない。
 先ほど、『クラウディオ・アバド:「モーツァルト交響曲集・協奏曲集』をオーダーしたところだが、アバドには忘れられない思い出がある。
 今から20数年も前、アバドが振るブラームスを大阪で聴いた。ボクの記憶違いでなければ1992年の1月のこと。アバドベルリン・フィルを率いて何度も来日しているが、ベルリン・フィルと一番最初に来日したとき、どういうわけか日本での最初の演奏会が大阪だった。来日する演奏家は例外なく東京で演奏をしてから地方へ回るものだが、この時のアバドは違っていた。
 アバドベルリン・フィルの来日最初の演奏会と言うことで、その夜は東京から著名な音楽評論家が何人も來阪し、吉田秀和さん粟津則雄さんの顔も見えて、会場の雰囲気は燃え上がっていた。出し物は「ブラームス交響曲1番」と同じブラームスの「ピアノ協奏曲1番」。ピアノはアルフレッド・ブレンデルが弾いた。
 ピアノ協奏曲の演奏が終わったブレンデルが会場に出てきて、ボクの斜め前の席でアバドの演奏を聴いていた。ベルリン・フィルのゴージャスにして芳醇な演奏と、ザ・シンフォニホールの音響に包まれて酔い痴れた感激を、ボクは忘れることはないでしょう。ボクと同い年のアバドは、今年1月、永眠している。
 モーツァルトは何組があるが、いずれも古い録音で何か新しいものを思っていた矢先、アバドが録音したものがあると知って取り寄せた。また貧乏するな。