秋たけなわの今頃の季節、好きだなぁ。

 9月の今頃から、紅葉する少し前の10月末頃までが、ボクの一番好きな季節。長い厳しい冬が過ぎて春が来た喜びもいいけど、束の間に過ぎ行く今頃の秋がボクにはたまらない。
 今朝6時、ミシェールを連れてお決まりの道を歩く。吹くとも見えない風にコスモスが揺れ,たわわに柿の実がなり山鳩がほろほろと啼いて、山里に秋は真っ盛り。
 澄み切った秋空に、赤でも朱色でもないザクロ色した石榴の実が映えます。ポール・ヴァレリーにこんな素敵な詩があります。

               石 榴

            硬い石榴はひび割れて
            実の粒の溢れに譲るー
            発見の多さに裂けた
            尊い額を見る思ひ!

            石榴は口を開いたー
            誇りにさいなまれつつ
            耐えとほした日の重さが
            ルビーの仕切りを軋ませ

            乾いた金の外皮が
            力の求めに負けて
            紅い宝の滴が散れば

            かがやく破裂に思ひ出す
            昔の私の魂の
            人に知られぬ建築を。

                  中井久夫訳(みすず書房