貧しくとも、ボクの思い出が一杯の『音楽ライブラリー』です。


 貧弱なミュージック・ライブラリーだが、これらのレコードやCDには、何時・何処で買ったかまで憶えていて、ボクの思い出が一杯に詰まっている。
 1ヵ月ほど前、本箱の一部を占拠していたレコードとを収容するレコード棚と、新しいCD・ケースが我が家に届いた。
 ぺらぺらした物でなく、良い素材でしっかりと作られたレコード棚は、家具として立派な存在感があり、同じ木製ながらCDを抽斗の中に格納するアイデァが、モダンなスタイルと調和して、なかなか素敵なCD・ケースである。
 若い頃、出張先で買うものと言えば家族への土産物ではなく、出張旅費を浮かせてレコード漁り。50年が経った今でも、「このレコードは、あの出張の時、あそこのレコード・ショップで買った」とか、「これはロンドンで、これはハンブルグで」「これは入荷を待ちかねるようにして近くの店で買ったもの」と殆ど思い出すことが出来る。応対してくれた店員と交わした会話まで思い出されて、ボクの大切なメモリー・ライブラリーでもある。
 「お前さん、山里に独り住んで淋しいかないか」と、よく言われる。
 妻が亡くなって23年になるが、いつも彼女はボクの傍にいるし、音楽・ライブラリーを取り出せば音楽と共に思う出が甦って来て、淋しいと思ったことなど一度もない。
 新しくなった音楽・ライブラリーの横で、ボクのBOX席は一層座り心地がよくなった。