「山茶花を 雀のこぼす 日和かな」(子規)

 庭の山茶花が一輪の花をつけている。この寒空に健気なもの。元気を貰う。

 ホイットマンは老人に敬意を払い尊敬する。年をふる毎に知力・体力が衰えるのは自然の条理というものだが、ボクには更に悲しいことに、寛容さが抜け落ちていくようである。
 兎に角、好き嫌いが激しくなって、嫌いなものは見るのもイヤ、聞くのもイヤ。近頃は嫌いな役者やアナウンサーの顔を見るのも、科白やナレーションを聴くのも嫌になって来た。少しアブノーマルではないか、危ない気がする。
 ボクとは意見を異にする人、好き嫌いが違う人の話に耳を傾け、互いの違いを認める人を迎え入れると言うチャンネルが、ボクには損壊し始めている。
 現代社会は全てが差別と排除に基づいていると嘆く一方で、ボク自身が自分とは異なる者を排除せずにいられなくなって来ていることに愕然とする。
 これは「老いの一徹」と済ませられるものじゃない。ボクの不寛容さ一体どこから来たのだろう。悲しい。
 こんな悲惨さ気持ちをメシアンが慰めてくれないものかと、ピアノ曲を取り出した。