ダリを「パーフォーマンス・アーチスト」と揶揄するか!?
積雪は50cmに達し、止む気配もない。デッキは雪に埋もれている。
生前のサルバドール・ダリの奇行・奇癖・変幻自在の生きザマから、この稀有な20世紀最大の芸術家を「パーフォーマンス・アーチスト」と思ってきた。
「幼い鰯たちが両親に連れられて初めて家の外に出たときのこと。
一艘の潜水艦がそばを通りすぎた。子鰯たちはびっくりして、父親に訊ねた。
『パパ、あれは何なの』
『子供たちよ、あれは私たち鰯の復讐なんだよ。
あの鋼鉄製の巨大な缶詰の中には、
人間たちが油にまみれて、ぎゅう詰めにされている』」
これは誰の詩かお分かりだろうか。
ダリ;『我が友、獣たち』(文芸春秋社刊「ダリ」)の一節。
並外れた知性の持主で、シニカルで悪戯好きなダリーの面目躍如たる詩じゃないか。
シャガールに触発されて、ダリの画集をひろげ伝記を読んでいるが、ボクは長いこと「自己宣伝家」という誤解に塗れたダリと向き合って来た。目の眩むような時空の中に存在するダリを理解できなかった我が身が、なんとも恨めしい。