雪は「しんしん」と降ると言うが、「ざわざわ」と音を立てるな。

 「雪が音もなく降り続く」。それって嘘だろう。
 今日3月11日の朝5時、ボタン雪の降る音がして目が覚めた。物音一つしない山里では確実に雪の降る音がする。気配なんかでなく、雪は「ざわざわ」と音を立てて降る。
 リビングのカーテンを開けると、積雪は10cmもあろうか。庭木の枝は冠雪して春先の重い雪に身を屈めている。
 「冬よ、もう世代交代の時期が来てるだろう?まだ頑張るかね」と声を出しかけて、慌てて呑み込んだ。誰かに「お前さんも78だろう?まだ未練たらしく生きてるかね」と、言わせていいものかと。
 写真は高校時代の同級生が描いたもの。若い頃は当時の「自由美術展」に何度も入選し、鳥海青児さんに師事し将来を嘱望されたものだが、挫折して画伯と呼ばれることもなく埋もれてしまった。長いこと音信も途絶えているが、この絵を見ると夢を語り合った青春の頃を思い出す。元気にしてるだろうか。