ベートーヴェンを聴きながら、ドビュッシーの評伝を読んでます。

 薄日の差す暖かいデッキの上で、「ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ全集」をヘッドフォンで聴きながら、ドビュッシーの評伝を読んでいる。傍にミシェールが寝そべってます。

 後年、ドビュッシーはクロシュ氏との対話の中で、「詩でも絵画でも伝統の古い埃を振り払おうとした人たちがいたが、そういう人たちはみな象徴主義者とか印象主義者にされてしまった」と、いみじくも言っているが、「伝統の埃を振り払って」自由の中に美を求めようとしたドビュッシーを尋ねつつ、彼が言う伝統の埃を被ったベートーヴェンを、同時進行で聴いているボクです。
 世の中が弁証法的に発展する議論は別にしても、ドビュッシーが捜し求めたものと、「ノン」と言った伝統も、21世紀に生きる人間には、音楽の歴史の流れとして鳥瞰して見ている、聴いているのでしょう。
 生きることは素晴らしいこと。邪魔者と言われても、もっと生きていたいな。
 読んでいるのは「ドビュッシー(作曲家・人と作品シリーズ)・松橋麻里著」、聴いているCDは、写真の「ベートーヴェンフォルテピアノとヴァイオリンのためのソナタ全集」。