家の真正面の北斜面に、いつも今時分になると花を咲かせる木は、何の木?

 北斜面にへばり付くように淡いピンクの花をつける、身の丈2m足らずのこの木は何と言う木でしょう。

 北陸の寒い冬の間だけ、日本を逃げ出し移り住んでいた中米のグアテマラに咲く花は、どれもがトロピカル調で鮮やかな原色をしている。始めの頃は、その鮮明な色調に目を奪われたが、そのうちボクも日本人なんだなぁ、桜や紫陽花の淡く優しい色合いが恋しくなった。
 手を伸ばせば届くような家の前の北斜面に、毎年花をつける名も知れぬ木は、緑一色の斜面に彩を添えている。
 花の好きだった妻のため、祭壇に飾ってやりたいと思わなくもないが、切り花を買うのは平気なのに、生きている枝から花を手折るなんてこと、可哀想でボクにはできない。
 デッキの上から、名も知らぬ淡いピンクの花を愛おしく眺める、夢のようなヒトトキです。