「ショスタコーヴィッチは三度も結婚してるのか。まさに『英雄、色を好む』なぁ」

 昨日、台風2号が来るとか、夕方から雨になるとか言うもので、3時頃ミシェールを家に置いて、急いで大野のスーパーまで兵糧の買出しに行った。
 パラパラと降り出した中を帰って来ると、我が家の前仁白いベンツが止まっている。「こんな天気の中を、やってきたのか」と家に入ると、医者をしているのが「近くまで来たので寄った」と、本箱から出した本を手にしてソファーに腰を下ろしていた。
 「こいつ、三度も結婚してるか。まさに『英雄、色を好む』だな」
 「うむ!?」
 「やっぱりな。そうてなくちゃなぁ」
 
 手にしている本を見ると、"Shostakovich: A Life"(by Laurel E. Fay) である。
 
 「ショスタコーヴィッチは女運が悪かったんだよ」
 「バカ言え。精力凛々なド助平でなきゃ、あんな傑作を次から次へ産み出せるわけがない」

 かく言う友人には、女房と言える人は一人しかいないのだが。

 「雨だから泊まっていけよ」
 「明日は朝早くから往診しなくちゃ」
 
 雨の中、帰って行った。
 遅い夕食をしてから、ショスタコーヴィッチを聴きましょうかと、多作で精力的なショスタコーヴィッチの、ジャズや映画音楽を集めたCDを取り出した。