家の前の田圃で稲刈りをしている。もう収穫の秋が来たのか?

 朝のコーヒーをしながら、「シューベルト美しき水車小屋の娘」を聴いて、全編に流れる哀調に沈んだ気分でいると、向かいの田圃で機械が動く音がして稲刈りが始まった。

 カメラを持出して、機械に乗っている若者に手を上げ挨拶をすると、サングラスをした若者が白い歯を見せた。この間、田植えをしていたと思っているのに、早や刈入れの時が来たのか。ここ暫く続いた風雨で、たわわに実った稲穂が随分と倒れているが、機械はすいすいと刈り取って行く。
 何年か前までは、向かいの田圃の稲刈りは、外に出ている息子たちも帰省して、小さな能率の良くない機械を操りながら、家族中で賑やかにやっていたが、最近は何処の田圃も雇われた若者が大型の機械で、あっと言う間に片付けてしまう。何も変わらなさそうに見える山里にも、農業のありようが大きく変化している。
 一日中パン食で米の飯を食わないボクでも、日本の米作りの将来はどうなるかと案じるが、ボクごとき者の知るところではないか。
 11時の気温29℃。厳しい暑さの中で収穫の時が来た。