ボクは日本の民謡の素晴らしさを知らなかった!

 ある方から、『眠った竜』と言う3人のミュージシアンのユニットを紹介され、昨日着いたばかりのCD『あいのかぜ〜つるとかめⅡ』で、太鼓を叩きながら民謡を歌う木津茂浬(きつ・しげり)さんの歌を、初めて聴いた。
 
 西洋音楽一辺倒のボクは、日本の民謡といえば「刈干切唄」ぐらいしか知らない。
 まだ勤めをしていた頃、ボクのところに宮崎出身の若い係長が赴任して来た。仕事が終わって近くの飲み屋で一杯やると、決まって彼は宮崎の民謡「刈干切唄」を謡った。透き通るようなボーイ・ソプラノで切々と謡い出すと、その場に居合わす100人を超える酔漢も、調理人までもが手を休めて、彼の「刈干切唄」に聞き入ったものである。
 木津茂浬さんは、大方の民謡歌手とは違って小節を回さず、澄んだ声で殆どストレートに謡う。クラシックの女性歌手・エマー・カークービもノンビブラートで歌うが、木津さんの歌い方はカークービより力強くて、ボクの腹にズンと響いてくる。
 CDをリピートにして何度も繰り返して聴いていると、嘗ては貧しかったであろう高千穂地方の農民が、恨みの一言も言わず切々と謡うワークソングに、今はすっかり音信が途絶え消息の知れなくなった、あの若者が思い出されて、ジーンと目頭が熱くなってきた。
 余計なことだがCDに付録している「解説」のつまらないこと。こんなものないほうがいい。
 津軽三味線高橋竹山さんのCDも、今日か明日には届く筈。暫くは日本の民謡を聴きましょう。ボクは日本にこんな素晴らしい音楽があったなんて、今の今まで知らなかった。グアテマラに行くようになってから、ラテン・ミュージックを聴くようになったが、ボクの音楽の世界がまた一つ広がった。音楽って素晴らしい!!