電話台にテーブルランプを置いていたら、「このランプの置台ええなァ」と人の言う。

 朝の食事が終わって、PC台の前に腰を下ろしかけたら近くの友人がやって来た。
「これから京都まで行くところ。これを持って寄った」と、ビニール袋に茸を入れて持って来てくれた。
「折角だから、コーヒーでも淹れよう」と支度をしていると、「このランプの置き台、ええやないか」と言う。電話台の上に置いたテ−ブルランプを見ている。固定電話を廃止しケイタイにしたので不用になった電話台を、廃物利用したものである。「ああ、それは電話機の置き台だったものだよ」。
       
     
  
   
 コーヒーを飲むと、そそくさといなくなった。
 静かな秋の冷気の中にコーヒーの残り香が漂って、何とも言えない安らぎの時間が過ぎていく。「こんな折はシューベルトでしょうね」と思うが、1ヵ月程前から悲鳴を上げるようになったスピーカーに代わって、巨大なヘッドフォンで聴いている。
      
 「シューベルト弦楽四重奏曲ト長調」を聴くのだが、どうもヘッドフォンは苦手。音質のいいものを買ったつもりでも、直ぐ疲れてしまう。スピーカーの修理は目下注文が殺到して、年内一杯かかるだろうとか。まるまる3ヶ月は辛抱しなければならないが、これはボクには苦役と言うしかない。