こんな歌を未だに子供たちに歌わせ、ラジオで流すのか!?

 NHKのFM放送から、児童合唱団が歌うこんな歌が流れて唖然としている。
 文部省唱歌『ふじの山』である。

       『あたまを雲の上に出し、
             四方の山を見下ろして、
          かみなりさまをし下にきく、
             ふじは日本一の山』

 小学生のころ、歌ったことがある人は随分おられるでしょうね。富士を日本の象徴として、端麗な姿と大和魂とを重なり合わせて子供たちを鼓舞し、誇らかに歌わせた尋常唱歌であった。
 富士ー大和魂天皇崇拝ー富国強兵ー軍国ニッポンにつながるプロパガンダの一環として、子供たちに歌わせたのである。
 雲より低い山も山でしょうが。高い山を立派だと言うのでしょうか。見下ろすという言い方で、子供たちに何を教えようとしたのでしょう。
「立身出世して、富士山の如く人を見下せるような高い所に立って、お国のために命を捧げよ」とな。「四方の山を見下ろす」は「人を見下すような人間になれ」「人から見上げられるような人間になれ」でしょうな。
 これこそ修身の極意であった。
 この歌を平成の今、子供たちに歌わせラジオで流すか!?
 歌は

       『ふじはニッポン一の山』

 と続くのである。
「山高きが故に尊からず」とは教えない。「ニッポンで一番高い山である」それ故に「ニッポン一の山である」と。それは、やがて「世界一の国 ニッポン」という国威掲揚に繋がっていく。
 まさしく、そういう教育理念に基づいた文部省唱歌だった。
 「人を見下すような人間だけにはなるな」と教えて欲しい。「日本一でなくとも、世界一でなくてもいい。人の痛みが分かる優しい人間であれ」と教えて欲しいが、NHKが何でこんな歌を子供たちに歌わせ放送するのか。
 誤解のないように申し添えるが、世界でいろんな山を見て来たけど富士ほど美しい山をボクは知らない。グアテマラの富士によく似た有名な火山「ボルカン・デル・アグア」の麓に、土地を買い家を建て数年暮らしたことがあるが、富士の端正にして壮麗な姿と較べれば何と言うこともない山である。