オトコの選択:年令に抗って何が悪い!?(2)

 朝の行事が終わってパソコンの前に腰掛けると9時である。室内温度はと見れば、天井吹き抜けの32畳大のリビング・ルームでも既に26度、もちろんクーラーは入ってない。今日の福井地方の最高温度は33度になるとな。33度が何だ!
 今週はプールも夏休み。朝の涼しいうちにと、ほんの30分ほど庭の草むしりをすると、やんわりと汗ばんできた。毛皮のコートを着たミシェールは、家中の冷たいフローリングの場所を転々としながら、ゴロリと横になっては涎を流すので彼方此方にモップを置いてある。昨日、富山の「置き薬」の若者が来て、ミシェールがぬっと近付くと腰を抜かさんばかりに驚いていた。
 1月生まれのボクは年が明けると直ぐ八十一になる。毎日のウォーキングと体操を欠かさず週に2度のプール通いを始めてから、体力・気力共に甦って、来年の秋か遅くても再来年の春には、ハンガリーの田舎を巡り、アフリカのキリマンジャロをこの目で見る夢を温めている。
 55才で妻と死に別れて以来、ボクは女性を知らない。
 気力も体力も取り戻し、身の回りの物は全て充足して、今は欲しい物は何もないが、女性の柔肌に触れもせず、ひたすら剛直に生きて来たボクに恋しいものがある。
 それは女性の優しさと温もり。近頃つとに恋しい。