彼岸花が咲き、ウメモドキの実が大きくなって。

 何時もの散歩道に彼岸花を見付けた。彼岸花マンジュシャゲとも言うが中国から伝来したものか。この辺りの紅葉は先のことだが、庭のウメモドキが葉の付け根に固まって咲かせている実も大きくなって、そこいら辺りが少しづづ色付いていく。
 
 
 

 ジャコメティは「各個人における現実」へのアンケートに、このように回答している。
              『私の現実』

 「確かに私は絵画と彫刻をやっている。そしてそれは初めから、私が絵を描き出した最初から、現実を捉えるため、自分を守るため、自らを養うため、大きくなるためだ。大きくなるのは一層よく自らを守るため、一層よく攻撃するため、掴むため、あらゆる面であらゆる方向に可能の限り前進するため、飢餓に抗し寒さに抗し死に抗して自らを守るため、可能な限り最も自由になるためだ。可能な限り最も自由になるのはー今日の私に最も適当な手段でー一層よく見んがため、周囲のものを一層よく理解せんがため、一層自由になるために一層よく理解せんがためだ。可能な限り大きくなるのは使い果たすため、仕事の中で可能な限り自分を使い果たすため、私の冒険を敢行するため、新しい世界を発見するため、私の戦いを戦うためだ。戦いの悦びのため?戦いの歓喜のため?勝ちまた敗れる悦びのためだ。」
      「ジャコメティ:エクリ」矢内原伊作訳・みすず書房

 ジャコメティ56才の言葉である。

 戦いもせず疲れ果て年を取り、路傍にへたり込んでいるーそれが『ボクの現実』。 ボクが20代の時に、この言葉に遭遇していたら、ボクの人生少しは変わっていただろうに。