朝6時、霧の中をミシェールと歩く。

 家の前の道から東を向いても   

 

 西を向いても霧に煙ってます。

 

 霧の中をミシェールと、「霧ですね、霧ですね」と言いながら歩いてきた。
 
 朝晩めっきり涼しくなって、ロシア原産のミシェールは元気を回復し意気揚々と歩く。ミシェールの季節の到来である。

 トラークルが謳う秋です。

              浄められし秋

          ちからづよく、こうして年は終る
          金色(こんじき)の葡萄と園の稔りをともなって。
          あたりの森はふかしぎにおし黙り
          孤独な者の伴侶となる。

          そのとき農夫は言うーこれでよし。
          おまえら晩鐘はながくしずかに
          ひびき終えてなお、はれやかな気持ちを与え
          旅ゆく鳥の列があいさつをよこす。

          これは愛のおだやかな季節(とき)。
          青い流れを小舟でくだりゆけば
          なんと美しくかたちにかたちが並びー
          すべては安らぎと沈黙のうちに沈みゆく。

                  「ドイツ名詩選」(岩波文庫)