「芥川賞」のカラ騒ぎ。龍之介は苦笑してるだろうな。

 芥川賞を貰った小説が、100万部数を売り尽くし更に増刷されるそうな。
 賞を貰った男がTV何ぞに出ていない普通の人間なら、こんなカラ騒ぎにならなかっただろうな。「TVに出ているコメディアンが小説を書いて、芥川賞を貰った!」
 芥川を読んだことも、芥川賞の存在に興味も関心もなかった人間が、TVに出ている、あの人が、ドエライ賞を貰ったらしい、という情報に舞い上がって、平素本を買ったこともない連中までが本を買い漁る。本当に日本はこんな情けない国になってしまったのか。
 殆どTVを見ないボクは、又吉と言うチンケなコメディアンを見たことがないし、これからも見ることはないだろうし、そいつが書いた小説を読む気もないが、こよなく芥川を愛するボクは「よってたかって、芥川の顔に泥を塗りやがった」と、悲憤慷慨している。
 賞の選者は全員一致で推挙し、一人の選者ごときは「純文学の匂いがする」というが、この選者の嗅覚は何処か狂ってないか。純文学とは何か分かって言ってるのか?全員一致して決めたと言うなら、選者全員のコメントを知りたいもんだ。
 増刷しても売れて売れて大儲けの出版社は、笑いが止らないだろう。「TVに出ているコメディアンが書いた小説が芥川賞を取れば、大受け間違いない」と読んでいた出版社は、わが意を得たりとニンマリだろうな。その策略にすっかり乗せられ踊らされた選者どもは、出版社から特別のボーナスでも頂きましたか。
 「灯火を親しみ、じっくり本を読む」今日この頃でないことぐらい十分に承知しているが、このフィーバーに背を向ける文学好きも、きっと大勢いるはず。
 「芥川賞」だの「直木賞」だのと言う、稀有の作家をめでる「祭りごと」など、もう辞めにしないか。