週に2回通っているプールの話をしましょう。

 年寄りが水の中で体を動かして、跳んだり・はねたり・泳いだりすることに効果があることは、広く知られているのでボクが此処で繰り返えさないが、週に2回、1時間15分通うプールの話をしましょうか。
 ボクが所属する60才以上のクラスには30数人の爺・婆がいる。クラスは上・中・初級に別れ、一昨年10月から通い始めたボクは、未だビギナーの初級にいる。その初級組の最高年令は86才の女性で、通い始めて何と17年にもなるとか。歩く姿はトボトボしているが、耳はよく聞こえるし、話す言葉には力があって頗る元気な人である。
 プールには6コースあって、2コースずつに分かれた各組を3人のインストラクターが指導している。
各組のすることは大同小異で、上級はクロール・ブレスト・バック・バタフライを25mプールを折り返して泳いでいるが、ボクらは25mの半分をクロールで、残り半分は歩いてと言う具合でレッスンする。
 ボクは2年前に罹った五十肩が完治せず、クロールとブレストは両肩が回るがバックとバタフライは左肩が痛くて回らないので、バックは右腕だけでバタフライは足だけで泳いでいる。「何としても五十肩を直さなければならないな」と、プールから帰って来る度に思うのだが、なかなか医者に診てもらう気にならないでいる。
 プールに入る前の15分間、全員が板間に集まって柔軟体操をする。周りを見ていると皆な適当にやっているが、ボクは毎朝30分、腰痛体操にラジオ体操をミックスした体操をしているので、何とかサマになっているかな。
 その体操の折、始めから終りまで何時も大声でお喋りをする2人組がいる。二人並んでいるのだからヒソヒソ声でも聞える筈だが、全員に聞えるくらいの大声で喋り捲るのである。最初の頃は、彼女等が話し始めると、後ろに座っているボクにはインストラクターの説明が聞えないので困ったものだが、この頃は「この体操のときはインストラクターはこんな説明をしている筈だ」と分かって来たからいいようなものの、しっとりとした「たたずまい」の城下町にも、こんな傍若無人な連中がいるものである。
 ボクは未だかって、この二人に目線を合わせたこともないし挨拶をしたこともない。完全に無視しているボクを「嫌な爺だ」と思っているだろうが、望むところである。ボクは人の迷惑を省みない、こんな無神経な連中を絶対に許さない。